折口信夫『古代研究』の販促パンフレット⁉︎『古代研究批評集』という小冊子

NHKの100分de名著という番組で、10月の題材に折口信夫の『古代研究』が取り上げられた。講師は上野誠先生。上野先生の著書『折口信夫 魂の古代学』は、高校2年生だった当時の私を國學院大學へと導いた本で、大学2年の頃まで関係書籍を色々読み耽った。折口自体への興味は大学2年の頃には大分薄れたが、関係書籍は新刊本・古本問わず惰性で買い続けている。
 そんな中で『古代研究』が取り上げられると聞いて、最近は仕事の忙しさであまり覗けていなかった日本の古本屋で折口関係を見ていると、気になった資料が一点。それが今回の『古代研究批評集』だ。

 

 

 

石神井書店から2,200円で購入した。内容としては、4つの書評と大岡山書店の図書目録などで、32頁の小冊子だ。
 巻頭の例言を見てみる。

 


 

 折口先生の名著「古代研究」(民俗學篇第一冊、國文學篇、各三版)三冊中、今回、民俗學篇第二冊を刊行するを得て、今回、本書の刊行を完了するを得ました事は、折口先生の御援助は云ふまでもなく、御買上げ賜りました方々の御助力に據る所と、私ども大岡山書店員、深く銘記して、永く忘れない所であります。

 これを機会に、小店は、古代研究批評集を作って、大方の御覧に入れたく存じます。

とある。要するに『古代研究』の最終巻に当たる民俗學篇の第二冊の刊行を祝って作られた書評集と捉えることができる。そこから考えると、この小冊子は1930年の6月以降に作成されたものであろう。

 

 続いて内容をみてみる...といっても転載された書評に興味はなく、16頁に「書店員より」と題された文章に興味をひかれた。

 古代研究には、はじめての試みとして、読者カードを入れて、大方の御氏名、御希望、御意見を承ることに致しました。

とある。そう、読者カードで大岡山書店に寄せられた内容が載っているのだ。折口の受容史に興味がある私からするととても面白い。

写真を添付したのでいろいろ読んで下され。当時の折口への見方、また大岡山書店がどのように学者たちに見られていたのかがわかる良い資料だ。